目・口が乾く

目・口の渇き、
口内炎が治らないなどの症状がある方

⇒目・口の渇き、口内炎が治らない方は、シェーグレン症候群、糖尿病、ベーチェット病、SLE(全身性エリトマト―デス)の疑いがあります。

シェーグレン症候群

涙を生成する涙腺や、唾液を分泌する唾液腺が免疫細胞によって破壊されることで、目や口が乾いてしまう疾患です。目や口の乾きだけでなく、甲状腺ホルモンの減少や関節痛、筋肉痛、間質性肺炎、耳下腺・唾液腺の腫れなどの症状を伴うこともあります。膠原病(こうげんびょう)の一つとされており、血液検査で調べてみると、免疫物質である抗SS-A抗体、抗SS-B抗体が陽性と示されます。治すには、目薬や唾液の分泌を促す薬などを使って、目や口の乾きを落ち着かせる必要があります。甲状腺ホルモンの減少が見られる場合はホルモンの補充を、耳下腺・唾液腺が腫れている場合は鎮痛剤やステロイドなどを処方していきます。

糖尿病

糖尿病も、口の乾きが起こる疾患の一つです。血糖値が高くなると血液中の糖分が増えた結果、尿中に糖が含まれるようになります。その結果トイレに行く回数や尿量が多くなるため、身体の水分不足によって口・喉の渇きが起こるのです。高血糖状態になっても痛みなどの自覚症状が目立たないので、糖尿病の初期症状として口が乾いていることに気付かないことも少なくありません。糖尿病の確定診断において必要な血糖値やHbA1cはすぐに測定できますので、ご自身の体に少しでも不安がある方は、当院の一般内科までお越しください。

ベーチェット病

過剰な免疫反応によって引き起こされる、膠原病の一種です。30才前後の男性に多く見られる疾患です。発症すると通常の口内炎よりも深く、強い痛みを伴った口内炎がみられます。また、同じような症状が陰部にも発生し、強い痛みを伴った陰部潰瘍もできます。他にも、足に赤いしこり(結節性紅斑)やニキビ、発熱、視力の低下、膝の痛みなどの症状も現れやすいです。口内炎ができている場合はプレドニンやコルヒチン(通常痛風の治療として用いられる内服薬)、うがい薬などを処方します。また、口内炎以外の症状の度合いによっては、生物学的製剤などを用いることもあります。当院では膠原病の治療に長く従事してきた専門医が在籍しておりますので、お気軽にご相談ください。

SLE(全身性エリトマト―デス)

20~40代の女性に多く見られる疾患で、膠原病の一種でもあります。SLEを発症した時に現れる口内炎は、ベーチェット病のそれよりも浅く、痛みも少なめです。また通常の口内炎とは違い、一度に何個もできたり、一つが消えた後にまた別の口内炎が再発したりします。口内炎だけでなく、皮膚や関節、肺、腎臓などの色々な部位に免疫細胞が過剰に働くため、口内炎以外の症状も起こります。症状は下記のとおりです。

  • レイノー現象(寒い場所にいると指先が白くなる状態)
  • 蝶形紅斑(ちょうけいこうはん:頬から鼻にかけての脱毛や赤み、紫外線によるかぶれが生じる)
  • 手の指や膝の関節痛・筋肉痛
  • 健康診断の異常(白血球の減少、尿蛋白、レントゲン検査で肺に影が見つかるなど)

これらの症状に加えて、血液検査で抗核抗体や抗Sm抗体、抗DNA抗体などの自己抗体が陽性であることを確認して診断を行います。ステロイドや免疫抑制剤などを用いた治療をメインに行いますが、治療内容は身体にどういった症状が起こっているかによって異なります。