リウマチ内科の症状/検査

リウマチの症状

90%の以上の方に手指の関節症状が現れます

手指の関節の痛み、腫れ、朝のこわばりは、関節リウマチの初期症状として一番よく見られます。実際に関節リウマチ患者のうちの90%以上の方に、手指の関節症状が現れるとされています。手指の腫れは左右対称に起こり、膝や肘、肩、足首が痛くケースもあります。
手指の関節症状は、第2関節と指の付け根の関節に起こりますが、第1関節に出るケースはあまりありません。第1関節の症状は「ヘバーデン結節」などの変形性指関節症で現れる傾向が強いのですが、痛風や乾癬という皮膚の疾患などの膠原病でも、第一関節の障害が起こることは若干あります。関節炎が進行すると関節が腫れ、触ると柔らかい感触があったり、熱感を伴ったりしているのが確認できます。いつから手指の症状に気付くのかにつきましては、患者様一人ひとり違うかと思われます。初期から痛みで自覚される方が多いのですが、日常的な動作(例:箸が上手く持てない、ボタンのつけ外しができない、ドアノブを回しにくいなど)に支障をきたしたのをきっかけに、自覚される方もいらっしゃいます。これらの症状があるからといって「関節リウマチがある」と断言することはできませんが、数ヶ月も続いている場合は、一度リウマチ専門医が在籍している医療機関へ受診されることをお勧めします。当院ではリウマチ治療に長く従事してきたリウマチ専門医が在籍しておりますので、お気軽にご相談ください。

関節痛以外の症状も

また、関節リウマチは背骨に症状が現れないというのも特徴ですが、首の骨の一番上のみ障害が起こります。さらに、腰や背中の痛みがある場合は、関節リウマチである可能性が低いです。そのため、関節リウマチの患者様が腰痛になった時は、別の原因で腰を痛めている可能性が高いです。 さらに、朝のこわばりは関節リウマチの方に非常によく見られる症状です。起床した直後に数分だけこわばる方、2~3時間もこわばり続けている方もいらっしゃいます。しかし、こわばりは更年期障害や甲状腺ホルモンの異常、薬剤やサプリメントの副作用などで起こるケースもあります。近年では、パソコンのキーボードの長時間作業による腱鞘炎によって、こわばる方も増加傾向にあります。複数の原因が考えられるので、患者様一人で原因を探るのは非常に難しいです。 また、関節リウマチは早期発見・早期治療が大切な疾患です。朝のこわばりが2~3ヵ月も続いている場合は、一度医療機関へ相談し、すぐに治療を始められるようにしましょう。
「関節リウマチ=関節にしか症状が起こらない」というイメージを持たれがちですが、関節痛だけではなく、肺疾患、神経疾患、腎疾患、皮膚疾患、眼科疾患などの疾患を併発する方もいらっしゃいます。それに、関節リウマチは全身疾患でもあるため、全身のだるさや食欲減退、微熱、貧血などの関節以外の症状を伴っている方も少なくありません。このことを踏まえて、当院では関節だけでなく全身の状態をチェックしてから診断する体制を整えております。先述したように、関節リウマチは全身に起こる疾患ですので、臓器障害がひどい場合は、順天堂大学医学部附属順天堂医院、順天堂越谷病院、東京慈恵会医科大学柏病院、柏厚生病院などへご紹介し、患者様に合った治療を受けられるようサポートいたします。

リウマチの診断

一昔前までは「アメリカリウマチ学会」に定められた分類基準(1987年)を元にした診断が行われてきましたが、近年、早期の関節リウマチの診断に向いていないことが判明されました。そのため現在は、2010年に作られた診断基準を元にして診断しています。 現在の基準では、似たような疾患が隠れていないか、除外診断を行うことが重要視されています。その後に、腫れや痛みを起こしている関節の数、箇所、症状が続く期間などに加えて、血液検査やレントゲン検査、超音波検査などの結果を考慮することで、正確な確定診断を下していきます。 分類基準のすべてに該当していなくても、関節リウマチである可能性が高いこともあります。その場合は、いったん期間を空けてから再検査を受けていただくこともあります。
関節リウマチは早期治療が望ましい疾患ですので、診断の正確性も重要視されています。1日でも早く関節リウマチの診断を下し、患者様に合った治療を提供していくことが大切です。

リウマチの検査

血液検査

血液検査では、リウマチ因子と抗CCP抗体、CRPや赤沈(せきちん)などの炎症反応、MMP-3などの数値を重要視しています。リウマチ因子や抗CCP抗体は、関節リウマチの患者様のほとんどが陽性と判定されるため、診断をつけるために行われる一般的な検査として位置づけられています。分類基準においても、重要な項目として評されています。 特に、抗CCP抗体はリウマチ因子と比べて、診断の精度が高いと評価されています。また抗体価の数値がかなり高いと、関節の破壊が一気に進みやすくなるリスクも上昇します。そのため数値が高かった方には、少しでも早めに治療を受けるようサポートしています。 しかし、関節リウマチ患者の10~20%は、先述した抗体・因子に付いて調べても陰性と出るため、「陰性=関節リウマチではない」と断言することはできません。その他の数値や症状なども考慮してから、診断をつけることが大切です。
CRPや赤沈、MMP-3は、関節の炎症があると高く出るため、診断において重要な情報になります。また治療の効果を調べるために、数値を調べることもあります。 さらに、血液検査では結核やB型肝炎などの有無について調べることもあります。特に、生物製剤などの免疫抑制剤の投与を検討する場合は、これらの感染症がないかチェックすることは非常に重要になります。治療の安全性を守るためにも、これらをチェックしてから治療を始めていきます。

レントゲン検査

レントゲン検査も、関節リウマチの診断において欠かせない存在です。関節周囲の骨粗鬆症をはじめ、関節の隙間が狭まっていないか、骨びらん(骨が溶けて欠けたように見える状態)や強直(癒合でくっついたような状態)の有無をチェックします。これらの有無は関節リウマチの診断において非常に重要な情報になりますが、早期の方ですと、これらの所見が見つからない可能性もあります。
また、レントゲンでは、他疾患を併発していないかを調べることも可能です。そして、レントゲンを定期的に受けていただくことで、治療の成果や骨の破壊の進行度合いなどを評価することもできます。容体が落ち着いている方でも、1年に1回はレントゲンを受けるよう勧められています。適切なタイミングになりましたらご案内いたしますので、当院までご来院ください。 関節リウマチの患者様の中には「間質性肺炎」を併発している方もいらっしゃいますので、胸のレントゲン撮影で肺の異常の有無をチェックすることも必須です。治療を始める際には必ず、胸のレントゲンも受けていただいています。異常が見られた際は、他の医療機関にてCT検査などを受けていただくこともあります。どの検査も、安全性の高い治療を提供するためには欠かせません。患者様には検査の必要性をきちんと説明してから、他院へのご紹介などを行っていきます。

超音波検査

また最近は、超音波検査が関節リウマチの治療でよく活用されるようになりました。超音波検査は、痛みを伴わず、被ばくリスクもありません。安全性が高く、従来のレントゲンでは判明しづらかった「滑膜炎」をより正確に見つけ出すことができる検査で、関節リウマチの早期診断にも利用されている検査方法です。また、治療の効果を調べるのにも有効とされています。そのため、治療薬を強い物に変えた方がいいのか、それとも弱い薬に変更した方が良いのかについても、きちんと調べることができるようになりました。当院では患者様に合った治療法が提案・提供できるよう、この関節エコー検査を積極的に活用しています。