関節リウマチとは

関節リウマチはどんな病気?

身体の免疫状態にトラブルが生じて関節に炎症が起こった結果、関節が痛くなったり変形したりする疾患です。このように、免疫がご自身の身体を攻撃する疾患を「自己免疫疾患」と呼びます。疾患の活動性が高い状態が続くと、日常生活に悪影響を及ぼしてしまいますので、症状に合わせた適切な治療を続ける必要はあります。現代では効果の高い治療薬が登場しておりますので、早期発見・治療を行えば今まで通り日常生活を過ごすことができます。
また、関節リウマチは女性に多く見られる疾患です。特に発症のピーク年齢は30~50代で、近年では高齢化によって、年を重ねてから発症する方も現れています。全人口の約0.5~1%が発症するとされて言われているように、100~200人に1人の割合で発症します。さらに、自己免疫疾患の中では一番発症率の高い疾患として知られています。

関節リウマチの歴史

実は過去に、関節リウマチ特有の関節の変化が見られた、紀元前4500年頃の古代インディアンの人骨が発見されたことがあります。また、欧米では、関節リウマチらしき人物が描かれている、17世紀ごろの絵画作品も見つかっています。日本では、奈良時代に活動していた歌人の山上憶良(やまのうえのおくら)が、自身の関節リウマチの症状について歌っていたとされています。

関節リウマチの遺伝性

遺伝的要因や、生まれた後に受ける後天的影響によって発症するとされています。 時々、患者様から「遺伝するのか」という質問をいただくのですが、ご両親がリウマチを発症していたとしても、絶対に子どもに遺伝するとは限りません。 実際に『慢性関節リウマチの家系調査(首藤敏秀ら、1990年)』では、リウマチ患者の一親等以内に、リウマチ患者が出る割合はたったの9.8%と報告されています。 9.8%と聞くと「高い」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご両親のどちらか1人がリウマチを発症していても、そのお子さんの10人中9人はリウマチを発症しないとも考えられます。兄弟姉妹で1人リウマチの方がいても同じことが言えます。
とはいえ、関節リウマチ患者がいるご家庭は、そうでない家庭よりも関節リウマチの発症リスクは約3.6倍もあると指摘されています。 その数字を聞くと、「高い」と思われがちですが、特定の遺伝子(HDR-DR4)を遺伝することはあったにしても、1つの遺伝子から発症する典型的な遺伝病とは全然違うものです。HDR-DR4を持っているからといって関節リウマチを発症するとは限りませんし、HDR-DR4を持っていない方で発症するケースも存在します。さらに、HDR-DR4以外の遺伝子の影響を受けて関節リウマチを発症する方もいらっしゃいます。
医学用語ではこういった遺伝子を「疾患関連遺伝子」と呼んでいます。リウマチ関連遺伝子は現在のところ、最低でも30個以上も発見されています。 また、女性は男性より4~5倍も発症率が高いため、性別の遺伝子もリウマチ関連遺伝子とみなすことができます。これらの遺伝子が絡み合った結果、リウマチを発症するのです。

関節リウマチを
発症する原因は様々です

関節リウマチは、決まった1つの要因だけで発症する疾患ではありません。複数の要因が絡み合うことで発症する「多因子疾患」です。 特に、喫煙や歯周病などのような、生まれた後に受ける後天的影響と大きく関わっていると報告されています。加えて、口腔内や腸内細菌叢の変化も関与しているとされています。
先述した遺伝的要因や喫煙、歯周病、肥満、アスベストなどの後天的影響が積み重なることで、リウマチの発症リスクが高くなると考えられています。 関節リウマチの血縁者がいる方はより一層気を付けながら、環境的要因を避けるように日々を過ごしましょう。