膝の痛み・腫れ

膝に痛み・腫れなどの症状がある方

⇒膝に痛み・腫れなどの症状がある方は、関節リウマチ、変形性膝関節症、
 乾癬性関節炎、偽痛風、ベーチェット病の疑いがあります。

関節リウマチ

手指の痛みがよく見られる疾患ですが、膝の腫れに悩む方も少なくありません。膝が腫れて痛む疾患として多いのは、軟骨が擦り減ることで発症する「変形性関節症」も挙げられます。特に高齢の方は、変形性関節症に悩む方が多く出てきます。それゆえに、変形性膝関節症と一緒に、リウマチも発症していないかを見分けることも重要なのです。それぞれを見分けるポイントは、下記の通りです。

  1. 何度も膝の水を抜いているのに、すぐに水が溜まってしまう
  2. 血液検査で炎症(CRP)があると指摘された
  3. ヒアルロン酸注射を打っているのに膝が改善しない

これらの項目に1点でも該当している方は、リウマチによって膝が悪くなっている可能性が考えられます。リウマチによるものでしたら、リウマチの治療を受けて膝を良くする必要があります。

変形性膝関節症

軟骨は、骨と骨の間に挟まっている組織です。軟骨は身体を動かした時に、骨同士がぶつからないようにクッションとして保護する役割を担っています。しかし、軟骨は加齢や使いすぎなどによって、徐々に擦り減っていきます。この軟骨のすり減りによって、骨同士がぶつかって痛み、曲げにくくなった疾患を「変形性膝関節症」と呼びます。
膝は全身の体重が集中しやすく、特に重い物を持ったりしゃがんだりする時は、一番負担がかかりやすい箇所でもあります。治療では、安静や減量、太ももの筋力を鍛える、膝の軟骨のすり減りを防ぐなどが重要になります。薬物療法では、鎮痛薬(飲み薬、塗り薬、シップ)を使います。場合によっては、整形外科で関節注射を併用することがあります。

乾癬性関節炎

膝の腫れ、カサカサした赤い湿疹(頭・肘・お尻などに生じます)、爪が黄色く変色してボロボロするなどの症状も見られる疾患です。CCP抗体やリウマチ因子のように、血液検査で調べられる項目がないため、皮膚や爪などを診察したり関節エコー検査で関節を診たりする必要があります。 乾癬が見られる場合は、リウマチ治療でも用いられるメトレートや生物学的製剤が有効とされています。また近年では、関節線専用の生物学的製剤も次々と開発された影響により、乾癬の治療もスムーズに進められるようになりました。治療を続けていくと関節と一緒に、皮膚や爪の状態も改善できます。

偽痛風

高齢の方が急に膝が腫れ、痛くなった場合は偽痛風が疑われます。尿酸が関節に蓄積して痛くなる痛風とは異なり、ピロリン酸が関節に溜まることで痛みが生じる疾患です。痛風よりも高齢の患者様が多く、手首や肩、首、膝などの大きな関節が痛みやすい傾向にあります。腫れている関節内にピロリン酸が蓄積しているのを、関節エコー検査や関節注射でチェックしてから、診断を下します。痛み止めや少量のステロイド剤を用いると改善されます。

ベーチェット病

口内炎やニキビ、陰部潰瘍、スネにできる赤いしこり(結節性紅斑)など、関節以外の症状が見られる疾患です。手指に関節痛が起こりやすいリウマチに対して、ベーチェット病は足(特に膝関節)に痛みが生じやすい傾向があります。また、目に症状が現れるケース(ぶどう膜炎)もあり、30歳前後の男性に罹りやすいとされています。
関節痛以外の症状もチェックしてから、痛み止めやコルヒチン(通常痛風の治療として用いられる内服薬)、ステロイド、生物学的製剤を処方します。